シモヤケの季節

数日前から寒さが本格的になり、今年もシモヤケの患者さんが来院し始めました。\r\nシモヤケは最低気温が3~5℃、日内温度差が10℃以上で発生しやすくなりますので、真冬よりもむしろ初冬または初春の季節の変わり目に多くみられます。手足の先や耳など循環障害の起こりやすい部位が赤く腫れ一般に痒みを伴います。症状がひどいと、水ぶくれや潰瘍になることもあります。\r\nシモヤケのできやすい人、できにくい人は確かにあるようで、毎年のようにしもやけに悩まされている人は、好発時期の初冬や初春に早めに手袋を着用する、耳まで覆う帽子を被るなどの予防が大切です。シモヤケができてしまった場合は、マッサージや冷温交替浴を行います。ビタミンEの内服や外用も多少の効果があります。水ぶくれが破れたり潰瘍になったりした場合は、抗生物質の入った軟膏を塗るなどして、ばい菌の感染を防ぎます。シモヤケは暖かな春になれば必ず治ります。暖かくなっても治らない場合は、別の皮膚病や内臓疾患が原因のことがありますので、必ず皮膚科を受診してください。

足の裏のほくろは切らなくて良い

以前に足の裏のほくろとメラノーマ(悪性黒色腫)について書きましたが、もう少し補足しておきます。昔は足の裏のほくろでやや大きいものや形のいびつなものは、メラノーマの可能性を病理検査で否定するために切除するのが一般的でした。しかし、最近はダーモスコピーという新しい診断機器が普及して、肉眼的にほくろとメラノーマの区別がある程度できるようになりましたので、足の裏のほくろを切除することが少なくなりました。ダーモスコピーとは皮膚表面での光の乱反射を防止しながら皮膚の病変を10倍くらいに拡大して観察する機器です。これを使うと足の裏の溝と丘の平行線がきれいに見えます。ほくろではこの溝の部分に黒い色がつきますが(左図)、メラノーマのはじまりでは色素沈着は丘の部分にみられます(右図)。左図のような所見がはっきりしていれば、ほくろに間違いありません。足の裏のほくろがメラノーマに変化することはまずありませんので、放置しても大丈夫です。一方、右図のような所見がはっきりしていれば、メラノーマの可能性が高いので直ちに切除します。ダーモスコピーの所見がどちらのパターンかはっきりしないときは定期的に経過を観察し、7㎜を超えて大きくなるようであれば切除します。