足の裏のほくろは切らなくて良い
以前に足の裏のほくろとメラノーマ(悪性黒色腫)について書きましたが、もう少し補足しておきます。昔は足の裏のほくろでやや大きいものや形のいびつなものは、メラノーマの可能性を病理検査で否定するために切除するのが一般的でした。しかし、最近はダーモスコピーという新しい診断機器が普及して、肉眼的にほくろとメラノーマの区別がある程度できるようになりましたので、足の裏のほくろを切除することが少なくなりました。ダーモスコピーとは皮膚表面での光の乱反射を防止しながら皮膚の病変を10倍くらいに拡大して観察する機器です。これを使うと足の裏の溝と丘の平行線がきれいに見えます。ほくろではこの溝の部分に黒い色がつきますが(左図)、メラノーマのはじまりでは色素沈着は丘の部分にみられます(右図)。左図のような所見がはっきりしていれば、ほくろに間違いありません。足の裏のほくろがメラノーマに変化することはまずありませんので、放置しても大丈夫です。一方、右図のような所見がはっきりしていれば、メラノーマの可能性が高いので直ちに切除します。ダーモスコピーの所見がどちらのパターンかはっきりしないときは定期的に経過を観察し、7㎜を超えて大きくなるようであれば切除します。