悪性黒色腫(メラノーマ)は早期に切除すれば治癒しますが、進行して転移が出ると有効な治療がほとんどありませんでした。これまで唯一ある程度の効果が認められていたのはダカルバジンという抗がん剤ですが、それも有効率はわずかに15%程度というものでした。しかし、最近の研究の進歩により、一昨年と昨年、進行したメラノーマに有効なイピリミマブとベムラフェニブという2つの新しいお薬が米国で相次いで認可されました。
前者は免疫抗体療法、後者はいわゆる分子標的薬で、いずれもダカルバジンとの比較で生存率の延長が認められています。これらの新薬は残念ながらわが国ではまだ認可されていませんが、間もなく国内でも承認に向けた臨床試験(治験)が始まる予定です。なお、イピリミマブと類似したPD-1という免疫抗体療法の治験は全国の主要な大学病院皮膚科を中心にすでに始まっていいます。