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手やからだに痒い皮疹が出て、皮膚科でお薬をもらって塗っているけれどなかなか良くならないという患者さんが時々いらっしゃいます。これはアレルギー性のかぶれのことが多く、その場合にはパッチテストを行って原因を明らかにする必要があります。

下の写真は29歳の男性です。以前よりアトピー性皮膚炎で通院していましたが、最近調理の仕事を始めてから手に痒い皮疹が出てきて、ステロイド外用薬を塗ってもよくなりません。そこで仕事で使用している石鹸と手袋を持ってきていただきパッチテストを行いました。その結果下の写真のように手袋が陽性でした。この手袋は合成ゴムを含むニトリル手袋でしたので、この患者さんはおそらくゴムの加硫促進剤に対するアレルギーがあるものと考えられます。そこで代替品として仕事中はビニール手袋を使用してもらうようにすると、手の皮疹は軽快して以後再発はありません。

この患者さんの場合はかぶれの原因がある程度予測できましたが、これがまったく分からないケースも多々あります。そのような場合には日本人のかぶれの原因として頻度の高い24種類のアレルゲンをスクリーニングするキット(パッチテストパネルS)が有用なことがあります。先日、全身に痒い皮疹が出て1年以上当科に通院している中年の女性にパッチテストパネルSによるスクリーニング検査を行いました。その結果この方は松脂の成分であるロジンに強いアレルギーがありました。この患者さんの仕事は歯科衛生士で、調べてみると歯科の治療材料にはロジンを含むものが色々あることが判明しました。

パッチテストは試料や試薬を貼付する日と、その2日後およびその翌日または翌々日に判定のために受診していただかなければいけませんので、ちょっと面倒な検査ですが、これで何年も悩まされている痒い皮膚病の原因が明らかになってすっきり完治することもあります。パッチテストは医療者にとっても面倒な検査で、忙しい開業医では行っていないところが多いと思われますが、我々のクリニックでは積極的に行っています。