Monthly Archives: July 2019

パッチテストのすすめ

手やからだに痒い皮疹が出て、皮膚科でお薬をもらって塗っているけれどなかなか良くならないという患者さんが時々いらっしゃいます。これはアレルギー性のかぶれのことが多く、その場合にはパッチテストを行って原因を明らかにする必要があります。 下の写真は29歳の男性です。以前よりアトピー性皮膚炎で通院していましたが、最近調理の仕事を始めてから手に痒い皮疹が出てきて、ステロイド外用薬を塗ってもよくなりません。そこで仕事で使用している石鹸と手袋を持ってきていただきパッチテストを行いました。その結果下の写真のように手袋が陽性でした。この手袋は合成ゴムを含むニトリル手袋でしたので、この患者さんはおそらくゴムの加硫促進剤に対するアレルギーがあるものと考えられます。そこで代替品として仕事中はビニール手袋を使用してもらうようにすると、手の皮疹は軽快して以後再発はありません。 この患者さんの場合はかぶれの原因がある程度予測できましたが、これがまったく分からないケースも多々あります。そのような場合には日本人のかぶれの原因として頻度の高い24種類のアレルゲンをスクリーニングするキット(パッチテストパネルS)が有用なことがあります。先日、全身に痒い皮疹が出て1年以上当科に通院している中年の女性にパッチテストパネルSによるスクリーニング検査を行いました。その結果この方は松脂の成分であるロジンに強いアレルギーがありました。この患者さんの仕事は歯科衛生士で、調べてみると歯科の治療材料にはロジンを含むものが色々あることが判明しました。 パッチテストは試料や試薬を貼付する日と、その2日後およびその翌日または翌々日に判定のために受診していただかなければいけませんので、ちょっと面倒な検査ですが、これで何年も悩まされている痒い皮膚病の原因が明らかになってすっきり完治することもあります。パッチテストは医療者にとっても面倒な検査で、忙しい開業医では行っていないところが多いと思われますが、我々のクリニックでは積極的に行っています。

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水いぼとプール

「水いぼ(伝染性軟属腫)」はウイルスによる感染症で、小学校低学年までにほとんどの子供がかかります。水いぼには軟属腫ウイルスが大量に含まれているのでこれを掻き壊すと周囲の皮膚にウイルスが感染して広がります。また、肌と肌の接触やタオルの共用などで他の子供にうつることもあります。 水いぼはウイルス感染症ですので、いずれは免疫ができて半年から1年くらいで自然に治ります。はしかや水ぼうそうとは異なり重篤な合併症を引き起こすこともないので、基本的には放置して差し支えありません。しかし、夏が近づくと保育園や学校でプールが始まるため保護者の方から水いぼをとってほしいという依頼が増えます。水いぼをとる方法はいくつかありますが、最も確実な方法はピンセットによる摘除です。しかし、これは麻酔のテープを貼付してもある程度痛みがありますし、子供たちにとっては辛い処置です。 そもそも、プールで水いぼがうつることはあるのでしょうか?少なくともプールの水を介して水いぼがうつることはありません。但し、タオルや浮き輪、ビート板などを介しての感染はあり得ますので注意が必要です。また小さなビニールプールに沢山の子供が入って肌と肌の接触があると問題かもしれません。これらのことに注意さえすれば水いぼの子供がプールを楽しむことは何ら問題ありません。水いぼの子供もプールに入ってよいというのが世界的な常識ですし、わが国でも皮膚科学会と小児科学会がそのような統一見解を出 しています。 しかし、依然として「水いぼの子はプールに入れない」という“規則”のある保育園や学校が多いので、水いぼの子供は楽しいプール遊びを断念するか、痛い目にあって水いぼをとられるかしかないというのはとても可哀そうなことです。保育園や学校の関係者の方々にはぜひこのような科学的根拠のない“規則”を見直していただきたいと思います。どうして も肌と肌の接触による感染が気になるのであれば、水いぼに防水テープを貼れば済むことです。多数の水いぼがある子供さんにはラッシュガードのような全身を覆う水着を着用させれば良いでしょう。いずれにしても、病気の子供を“排除“するのではなく、何とか工夫して共に楽しめるようにしてあげるという視点が大切だと思います。

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