薬による光線過敏症

春になり日差しが強くなると、光線過敏症の患者さんを時々診ます。これらの患者さんは、普通であれば日焼けを起こすことのない少量の紫外線で、手や顔面など露出している部位に強い炎症を起こします。

光線過敏症は色々な原因で起こりますが、最も多いのは薬の副作用によるものです。新しく3か月から半年前から処方された薬を飲んでいるうちに、春の紫外線の強くなる季節に症状が出てくるのが特徴です。

原因薬剤は多岐にわたりますが、最近では新しく発売された高血圧の薬(降圧薬)が原因の光線過敏症がしばしば見られます。これらの降圧薬にはクロロチアジドが配合されています。クロロチアジドは昔使われていたお薬で、光線過敏症の原因となることはよく知られています。他に良い降圧薬が沢山出てきたため、最近は殆ど使われることがなくなっていましたが、ここ2~3年、他の降圧薬との合剤として新薬に配合されているので注意が必要です。

光線過敏の症状は原因薬剤を中止すれば速やかに軽快します。しかし、診断が遅れ、強い過敏症状が続くと、皮膚の色素沈着と色素脱出が混じった不可逆的な醜形を残すことがあります。

降圧薬の光線過敏症

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格闘技選手の「たむし」

水虫を起こすカビの一種である白癬菌が足以外の皮膚に感染したものがいわゆる「たむし」です。「たむし」は股にできることが多いのですが、体のどの部位にもできます。「たむし」で来院する人の90%以上は水虫をもっていますので、水虫の白癬菌が自家接種で足以外の皮膚にくっついて発症するものと考えられます。つまり、普通の「たむし」はそれほど感染力の強いものではありません。

しかし、最近、感染力が非常に強い「たむし」が、柔道やレスリングなど格闘技の選手の間に広がっていて問題になっています。これは、特殊な白癬菌であるトリコフィトン・トンズランスが原因です。トンズランスはもともと日本にはいなかった白癬菌ですが、10年以上前に海外遠征に出かけた格闘技の選手によって国内に持ち込まれたようです。トンズランスは普通の白癬菌とは異なって感染力が強いことが特徴で、体の接触が激しい格闘技の選手の間で大流行しています。また、この菌は毛に入りやすいことも特徴で、頭につくと脱毛を起こします。

治療は通常の「たむし」と同じ抗真菌剤が有効ですが、皮膚の産毛にも入り込んでいることが多いので、塗り薬だけでなく、1~2カ月飲み薬も服用する方が確実です。

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メラノーマの新しい治療薬

悪性黒色腫(メラノーマ)は早期に切除すれば治癒しますが、進行して転移が出ると有効な治療がほとんどありませんでした。これまで唯一ある程度の効果が認められていたのはダカルバジンという抗がん剤ですが、それも有効率はわずかに15%程度というものでした。しかし、最近の研究の進歩により、一昨年と昨年、進行したメラノーマに有効なイピリミマブとベムラフェニブという2つの新しいお薬が米国で相次いで認可されました。前者は免疫抗体療法、後者はいわゆる分子標的薬で、いずれもダカルバジンとの比較で生存率の延長が認められています。これらの新薬は残念ながらわが国ではまだ認可されていませんが、間もなく国内でも承認に向けた臨床試験(治験)が始まる予定です。なお、イピリミマブと類似したPD-1という免疫抗体療法の治験は全国の主要な大学病院皮膚科を中心にすでに始まっていいます。

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シモヤケの季節

数日前から寒さが本格的になり、今年もシモヤケの患者さんが来院し始めました。
シモヤケは最低気温が3~5℃、日内温度差が10℃以上で発生しやすくなりますので、真冬よりもむしろ初冬または初春の季節の変わり目に多くみられます。手足の先や耳など循環障害の起こりやすい部位が赤く腫れ一般に痒みを伴います。症状がひどいと、水ぶくれや潰瘍になることもあります。
シモヤケのできやすい人、できにくい人は確かにあるようで、毎年のようにしもやけに悩まされている人は、好発時期の初冬や初春に早めに手袋を着用する、耳まで覆う帽子を被るなどの予防が大切です。シモヤケができてしまった場合は、マッサージや冷温交替浴を行います。ビタミンEの内服や外用も多少の効果があります。水ぶくれが破れたり潰瘍になったりした場合は、抗生物質の入った軟膏を塗るなどして、ばい菌の感染を防ぎます。シモヤケは暖かな春になれば必ず治ります。暖かくなっても治らない場合は、別の皮膚病や内臓疾患が原因のことがありますので、必ず皮膚科を受診してください。

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足の裏のほくろは切らなくて良い

以前に足の裏のほくろとメラノーマ(悪性黒色腫)について書きましたが、もう少し補足しておきます。昔は足の裏のほくろでやや大きいものや形のいびつなものは、メラノーマの可能性を病理検査で否定するために切除するのが一般的でした。しかし、最近はダーモスコピーという新しい診断機器が普及して、肉眼的にほくろとメラノーマの区別がある程度できるようになりましたので、足の裏のほくろを切除することが少なくなりました。ダーモスコピーとは皮膚表面での光の乱反射を防止しながら皮膚の病変を10倍くらいに拡大して観察する機器です。これを使うと足の裏の溝と丘の平行線がきれいに見えます。ほくろではこの溝の部分に黒い色がつきますが(左図)、メラノーマのはじまりでは色素沈着は丘の部分にみられます(右図)。左図のような所見がはっきりしていれば、ほくろに間違いありません。足の裏のほくろがメラノーマに変化することはまずありませんので、放置しても大丈夫です。一方、右図のような所見がはっきりしていれば、メラノーマの可能性が高いので直ちに切除します。ダーモスコピーの所見がどちらのパターンかはっきりしないときは定期的に経過を観察し、7㎜を超えて大きくなるようであれば切除します。

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アナフィラキシーショック

先日の夕方、診察時間が終わる頃に、自宅で農作業中に蜂に指を刺された男性が来院しました。受付に来られた時にはすでに血圧が下がっており、目がよく見えないと訴えられていました。自宅から10分くらいの距離を自分で車を運転して来たのですが、途中から目の前が真っ暗になって、辛うじて私たちの診療所にたどり着いたとのことでした。途中で交通事故を起こさなくて幸いでした。直ちに点滴とアドレナリンの投与を行い、無事回復しましたが、アナフィラキシーショックの恐ろしさを実感しました。

蜂毒によるアナフィラキシーは、刺されてから15分以内に起こり、全身の蕁麻疹、呼吸困難、嘔吐、腹痛、下痢やめまいなどの症状が出ます。重症になると血圧低下を伴うショック状態となり、一刻を争う状況になります。実際に我が国では毎年30人程度が蜂毒によるアナフィラキシーにより死亡しているようです。

アナフィラキシーは他に食べ物や薬でも起こることもあります。アナフィラキシーの症状が出たら、とにかく助けを呼び、一刻も早く医療機関に向かうことが大切です。このような時こそためらわずに救急車を利用するべきです。

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水虫のOTC薬

そろそろまた水虫の季節がやってきますが、この時期になると写真のような水虫のOTC薬によるかぶれを時々診るようになります。

OTC薬とは、医師の処方箋が無くても薬局で購入できる市販薬のことです(OTCはオーバー・ザ・カウンターの略)。OTC薬は安全性が重視されていますので、その分効果は弱いものが多いのですが、最近は私たち医師が処方する薬と同じ成分が含まれているものもあります。水虫のOTC薬の多くも、水虫の原因である白癬菌に強い抗菌作用を示す薬物が含まれていますので効果は十分あるのですが、時々ひどいかぶれを起こすことがあります。一方、医師が処方する水虫の薬でかぶれを起こすことはあまりありません。これはどうしてでしょうか?

実は、水虫のOTC薬にはメントールなどのかゆみを抑える成分(鎮痒剤)や殺菌剤、消毒薬などが含まれており、これらの成分がアレルギー性のかぶれを引き起こすことがあるのです。鎮痒剤が含まれていれば、塗った時にスッとして一時的に痒みが和らぐかもしれませんが、それで水虫が直ちに治るわけではありません。それよりも薬を根気よく塗って白癬菌の増殖を抑えることが大切で、そうすればいずれ痒みもとれます。なお、水虫は痒いというイメージがありますが、実際には水虫の過半数には痒みはありません。また、白癬菌は殺菌剤や消毒薬では死にませんのでこれも無駄なものです。OTC薬のメーカーは鎮痒剤や殺菌剤を入れることで付加価値をつけて販売を促進したいのでしょうが、むしろこれらがかぶれなどのトラブルの元になる可能性がある訳です。

OTC薬は病院に行かなくても簡単に手に入るので、水虫の治療くらいはこれで十分と思われるかもしれません。しかし、水虫は症状が様々で、私たち皮膚科医にとっても完治させることが難しい厄介な病気なのです。

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フットケアのすすめ

顔は鏡で毎日見て特に女性はお化粧に余念がないと思いますが、足を毎日見て手入れする人はほとんどいないのではないでしょうか?作家の五木寛之氏は大の風呂嫌いで、あの見事な白髪も何週間も洗わないそうです。しかし、そんな彼が毎日欠かさず行っている事は、足の趾の一本一本を丁寧に洗うことだそうです。これは糖尿病の患者さんにとってはとても大切なことです。

糖尿病の患者さんは細い血管の血液循環が悪いために足の壊疽が起こりやすく、これにより足の切断を余儀なくされることもあります。壊疽は水虫やウオノメ、タコなど足の小さな傷から黴菌が入ることから始まりますが、糖尿病の患者さんは知覚神経が鈍くなっているので、足に傷があっても痛みがなく、異常に気付くのが遅れるのです。したがって、最近、多くの医療機関では糖尿病のフットケアとして以下のような指導をしています。

1)毎日1回は足をよく観察して 小さな傷や変色を見落とさないようにする。
2)足の清潔を保つため、1日1回はぬるま湯で石鹸を使って丁寧に足を洗う。
3)できるだけ素足では歩かないようにする。
4)足の爪を切るときは深爪をしないようにする。
5)足の水虫、ウオノメ、タコなどは早めにきちんと治療しておく。

歌手の元ちとせさん、一青拗さん、鬼束ちひろさんの3人には、裸足で唄うことを好むという共通点があります。彼女たちの縄文的なエネルギーに溢れた歌声は、素足に大地の力を感じることから生みだされるのではないでしょうか。健やかな足は元気の源です。糖尿病のない人も毎日の足の手入れを怠らず、元気に暮らしたいものです。

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爪のメラノーマ

足の裏に次いで悪性黒色腫(メラノーマ)ができやすいのは爪です。特に手の親指、人差し指と足の親指が好発部位です。爪のメラノーマは殆どの場合、爪甲を縦断する黒い線として始まり、徐々にその幅が広くなっていきます(左の写真)。この時点で手術を受ければ100%治癒しますが、これを放置して爪の下に腫瘍ができてくると転移する恐れがあります(中央の写真)。

一方、爪の黒い線は子供さんには時々みられるものです(右の写真)。これは爪の根元にできるほくろによるもので、この場合は放置しても差し支えなく、成人に近づくと自然に消える場合もあります。

爪の黒い線がメラノーマのはじまりか、良性のほくろによるものかの判断は難しい場合がありますが、大人の人で、中年以降に爪に黒い線が出てきた人は必ず皮膚科を受診して下さい。

爪のメラノーマ

進行した爪のメラノーマ

小児の良性色素線条
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足の裏のほくろは危ない?

ほくろ

足の裏のほくろは危ないとよく言われますが本当でしょうか?これは非常にたちの悪い皮膚がんである悪性黒色腫(メラノーマ)が足の裏にできやすいことと関係があります。実際にほくろが悪性のメラノーマになることはありませんが、メラノーマの始まりはほくろとよく似ていますので注意が必要です。

メラノーマのはじまりは普通のほくろとは異なり、①中年以降に出てくる、②形がいびつである、③色に濃淡がある、④直径が7㎜以上ある、という特徴があります。特に④の大きさは重要なポイントです。

メラノーマ

最近ではダーモスコピーという拡大鏡による診断がほくろとメラノーマの区別に威力を発揮しています。これで拡大してみると、両者はほぼ区別が出来ます。足の裏のほくろに気づいてもダーモスコピーで一度きちんと診断を受けておけば、慌てて切除する必要はまったくありません。

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